2023年秋にスタートしたメンズブランド、RHYTHR(リズル)
「日常にアクセントを」をコンセプトに、手ごろな価格でデザイナーズ級の商品を提供している。
今回は「好印象ファッションで彩り豊かな心を」をテーマにYouTubeや自身のブランド「JiTan」で活躍するメンズ専門スタイリストのもりすんさん(以下敬称略)を招き、デザイナー諸橋が秋冬新作について語った。
(左:もりすんさん、右:RHYTHRデザイナー 諸橋)
日常でも品よく着られる理由。広がるSサイズの選択肢
もりすん 今季はどのようなアイテム構成ですか?
諸橋 RHYTHR では「日常にアクセントを」というテーマを掲げているのですが、今期はクラシックなアイテムをベースにアクセントを加えたものを展開しています。
大人の男性にも着ていただきたいので、一般的にはカジュアルな素材で作るものをきれいめな素材に落とし込んだり、上品さを意識してコーディネートできるようにしています。
もりすん RHYTHRは諸橋さんがデザイナーで、パタンナーさんは別にいらっしゃるんですか?
諸橋 長年一緒に仕事をしているパタンナーさんがいて、その方に依頼しています。
もりすん そうなんですね、すごく綺麗に仕上がっているので気になっていました。
諸橋 どちらかというとドレッシーなテイストが得意なパタンナーさんで。自分で、1着テーラーができる方にお願いしています。
もりすん 縫えるんですか!じゃあもう作り手の考えがわかるんですね
諸橋 カジュアルなアイテムでも上手くきれいめに仕上げてくれるんです。
それから素材にはいつもこだわっているのですが、今季は海外の生産地に足を運んでかなり吟味しました。
運営 私も同行して、丸二日ずっと生地の事を考えていましたね(笑)
諸橋 何百種も触って比較して、価格と価値どちらも納得して着るものを選定できたと思います。
運営 今季から要望の多かったSサイズ展開も設けました。より多くの方に、そして女性の方にもぜひ手に取って頂きたいです!
もりすん Sサイズが出来たんですね!
RHYTHRはシルエットがかっこいいですよね。若い方も好むと思うんですけど、結構僕ら世代でも着やすいですよね。
諸橋 それは特に意識して作っていますね
表は上品、裏はカジュアル。日常を変えるリバーシブルコートとセットアップ
諸橋 こちらが今季のメインアイテムになると思うんですけど、形としてはベーシックな1枚袖のステンカラーコートなんですね。 表地は少しウールライクな上品な生地を使用して、オンでも使えるようにしています。
完全にリバーシブル仕様で、裏にするとこうなります。
もりすん あ、これ、同じアイテムなんですね。そういうことか。
諸橋 裏はN-3Bをモチーフにしたオフで使えるようなカジュアルなデザインにしています。
こちらの面は撥水などの機能がある生地を使用しています。ハンドウォーマーポケットもつけてミリタリーライクに、衿もコーディロイで切り替えになっています。
ステンカラーのリバーシブルってあんまりないですよね。
もりすん 珍しいですね。表裏でこんなにデザインが違うなんてすごいです。
諸橋 素材もディテールも、同じものだとリバーシブルでする必要はないので。やっぱり両面とも着られないと作る意味がないなと。
このコートは税込24,300円。かなりお得感があると思います。
もりすん すごいですね、RHYTHR さんって、もともと比較的スペックの良い物がリーズナブルで買いやすいというイメージがありますけど、さらにそこからシーンに分けて2パターンで使えるんですね。
諸橋 ”CHARCOAL”は表裏配色ですが、”BLACK”は両面ブラックです。
もりすん ブラックはビジネスとかでも使っていけそうですね、週末とかは裏返しにして、こっちを着るっていう。
もりすん あっ、このボタン…
諸橋 そうです、今回全てRHYTHRのロゴを入れたオリジナルボタンにしています。
もりすん しかもこれリバーシブルでそれぞれ表と裏を別々に掛ける仕様なんですね。その分ボタンを用意しないといけないですよね、費用がかかってませんか?
僕も作る側の身になって解ったのですが、ボタンって結構お値段するんですよね、小さいけど増えれば増えるほど。バカにならないですよね。
もりすん 裏面はコーディロイの衿で、変化があっていいですよね。
最近は気温が上がってて、なかなかロングコートを着る機会がないみたいに言われてますけど。こういうちょっとしたリバーシブルとか色違いで臨機応変に使えるとなると、コーデの幅も広げられるし、すごいメリットを感じました。
諸橋 丈も短くしてるんですよ。 一般的なステンカラーコートはもう少し長いんですけど、これは僕が着て膝ぐらいなんですよね。
仰る通りロングコートを着る時期や機会が減っているので、気軽に着られるようアレンジしました。
あとはモチーフにしているN-3B自体も膝上丈なので、それも含めてロングコートとしてはやや短めに設定してます。
もりすん これくらいの丈感ってトレンドに左右されづらかったりもするので、長く使っていけますよね。
うわー、いろんな魅力が詰まってる1枚ですね。
諸橋 次にそのコートのセットアップでも着られるこの”TUCK SLACKS”。
定番の”DRAWSTRING TROUSERS”はワンタックなのですが、今回はツータックにしてウエスト周りにゆとりを持たせた新型です。
ベルト付きでコーディネートのアクセントにもなります。短めのトップスとの相性もいいですね。
こちらは税込8,800円です。
もりすん 本当ですか!?先ほどゆっきーさんが試着したのを見たのですが、めちゃくちゃ綺麗なシルエットで僕も好みです。コートとセットアップで3万3100円!?
諸橋 はい、さらにもう一つ、ハーフジップのプルオーバーも同じ生地で作り、セットアップで着用できます。
一般的にはフリースとかで作るようなハーフジップのプルオーバーを、布帛素材できれいめに持っていったアイテムです。
スリーピースとしても使えますし、ボトムだけ別のものにするなど、着回しやすいアイテムです。
もりすん 僕はこの”CHARCOAL"色を上に着てシックに決めたいですね。
諸橋 両脇にポケット、胸にもコンシールポケットがあります。 裾も絞れるので、使い方はいろいろできるかなと。
そして本当に上品に見える。 カジュアルなハーフジップはお持ちの方も多いと思いますが、素材感で変化を加えたアイテムです。
結構好きな方が多いと思うんですよ。 こういうハーフジップのアイテムって。なので少し今までとはひと味違うハーフジップにしました。
諸橋 上下のセットアップかつハーフジップをインナーに着て3ピースで合わせても全然いいかなと思うんですけど
もりすん あえて配色に組み合わせても良さそうですよね。
諸橋 馴染みのある配色といいますか、難しく考えず気軽に使えるアイテムなんじゃないかなと思います。
■REVERSIBLE SOUTIEN COLLAR COAT
BLACK/CHARCOAL
S / M / L
¥24,300 (tax incl.)
■HALF ZIP PO
BLACK/CHARCOAL
S / M / L
¥8,900 (tax incl.)
■TUCK SLACKS
BLACK/CHARCOAL
S / M / L
¥8,800 (tax incl.)
カジュアルを超える仕立て。ウール混素材が映えるシックなセットアップ
諸橋 こちらは”FLANNEL SWING TOP BLOUSON”、伝統的なスイングトップの形をベースに、秋冬らしいウール混素材で大人っぽくしています。
先ほどの通り冬も気温が下がりにくいので、ニットの上にこのブルゾンを着て過ごせるようなイメージですね。
もりすん この起毛感、魅力的ですね。品質表示を見たのですが、ウール50%入っていてこのしなやかさはいいですね。
諸橋 フロントのポケットは2重になっていて、本当に落としたくないものはファスナーポケット側に入れていただいて。
もう片方は暖を取れるよう、スッと手を入れられるつくりになっています。
25SSのスイングトップでも取り入れたのですが、裏地をテーラードジャケットのような見返しと内ポケットがついた仕様にしています。
裏地はあえてダンガリー生地にして、カジュアル感も持たせています。”GRAY”に関しては配色にしています。
もりすん このステッチとか、縫製にもこだわりを感じますね。
諸橋 はい、テーラードジャケットに使われるようなポイントステッチにしています。
もりすん カジュアルなブルゾンにテーラーの要素を取り入れているんですね。
ウールはものによってはチクチクする生地もあったりするんですけど、これは感じないですよね。結構それが重要なポイントだったりするんですけど。
諸橋 柔らかいので、着心地はいいと思います。
2色展開で、”GRAY”は衿が配色に、”BLACK”はオールブラックです。
もりすん より落ち着いた雰囲気にしたかったらブラックで。グレーと使い分け出来るのもいいですよね。
僕の視聴者さんは30代40代の方が多く、こういったシングルのジップジャケットってどこか作業着感・カジュアル感が出ちゃうんですけど、このアイテムはもう生地的にも色的にも、それを覆すような日常で使いやすい感じがしました。
諸橋 この素材感でも比較的買いやすい、税込みで19,600円ですね。
もりすん おー!!!!
諸橋 企画の段階である程度上代を設定してそれを目指して作りました。
やはりRHYTHRとしては良いものを手に取りやすい価格で提供することを他ブランドとの差別化の1つとして掲げているので。
なかなかこの感じで2万円以下っていうのは無いんじゃないかと思います。
もりすん 利益出てますか?
運営 たくさん買っていただけることを願います(苦笑)
もりすん そうですね、それは間違いない。じゃないとブランドも存続できないですもんね。
諸橋 セットアップで着られるパンツがありまして、こちらはコインポケット付きのチノパンをベースにイージーパンツに仕上げています。
ウエストはゴムでイージーな仕様なのですが、素材をウール混素材にしチノパンのディテールを取り入れて上品に履いていただけるようになっています。
もちろんセットアップではなくても、先ほどのコートや後に紹介するデニムジャケットとも相性良く着られます。
もりすん 最近こういったゆったりとしたスウェットパンツが流行っていたりもしますけど、それよりも大人っぽく着れるのはいいですね。
諸橋 本当に真冬でも履いていただけるような素材感ですね。
■FLANNEL SWING TOP BLOUSON
BLACK/CHARCOAL
S / M / L
¥19,600 (tax incl.)
■FLANNEL EASY PANTS
BLACK/GRAY
S / M / L
¥10,800 (tax incl.)
細部に宿る美学。長く愛せる新定番デニムセットアップ
諸橋 24AWにデニムのパンツを出したんですけど、それが好評だったのでセットアップとしてジャケットを作ろうと思いまして。
去年は黒とネイビーをワンウォッシュのみできれいめに仕上げてたんですね。
今季はフェード加工をかけ、ネイビーは配色のステッチにし、少しカジュアル寄せにしています。
一見3rdタイプのベーシックな形ですが、ちょっと裏面を見てください。
前身頃のみに裏地を付け、ワークシャツのようなパッチポケットをたたきました。見えないところ機能性とちょっとしたデザインというのをポイントにしてます。
もりすん まさに今、"見えないところのデザイン"って言うワードが出てきましたけど、全てのアイテムに盛り込まれてるんですよね。
諸橋 ブランド的にはそれを謳っていたり価値観を出してるっていうのもあります。
表側に強いデザインが入ってると着づらいという方もいると思うので、見えないところさりげないデザインを加え、手に取っていただいた時にちょっとした高揚感を覚えていただけると嬉しいです。
もりすん 僕たちにはそれがありがたいんですよね。
あまりこう表に出しすぎると、そこにトレンド性がある時はいいかもしれないけれど、それが収まってくると着づらくなってくるし…
歴史ある型を継承しつつ、ずっと使えるアイテム。 素敵ですね。
諸橋 最初に紹介した3点アイテムはきれいめに仕上げているので、そのいずれかにこのデニムを合わせるとアクセントになるようなイメージで、加工感のあるものを作りました。
もりすん 他のアイテムとのつながりも持たせられるのって大きいですよね。RHYTHRの中で他のアイテムと合わせてもコーデがぐっと広がるという。
■FADED DENIM JACKET
FADED BLACK/FADED INDIGO
S / M / L
¥12,800 (tax incl.)
■FADED WIDE DENIM
FADED BLACK/FADED INDIGO
S / M / L
¥9,800 (tax incl.)
ベーシックを柔らかく刷新。秋冬に映えるワークパンツ
諸橋 こちらは形自体はベーシックなワークパンツ。全体的に少しゆとりを持たせているのと、ペインターパンツのディテールも取り入れています。洗い加工でカジュアルな雰囲気にしています。
もりすん スモーキーな感じがありますね。
諸橋 パウダータッチの生地なので、秋冬らしい感じもありますし、しっかりした打ち込みのある素材なので真冬でも着ていただけると思います。
こちらも共布のベルトをつけてアクセントにしています。
もりすん これはコットンですね。最近ピーチスキンみたいなのを見かけることもありますが。
諸橋 モールスキンなどを使われているブランドさんも多いですね。ただモールスキンだと結構硬くなりがちなので、それよりもソフトな素材感にしています。
■CHINO WORK PANTS
BLACK/BROWN
S / M / L
¥11,800 (tax incl.)
フェード加工が生む唯一無二の表情。進化した定番スウェット&パーカー
諸橋 最後は加工を加えたスウェットシリーズです。
もりすん これまでにもスウェットはありましたよね。
諸橋 立ち上がりのシーズンに出した、MA-1のディテールを踏襲した"OVERSIZE SWEATSHIRT”があるのですが、それを少しだけ短丈にして、フェードの加工を加えました。
そして今回はフルジップのパーカーも登場です。綺麗めなボトムスの上に着るのもよさそうですね。
もりすん ジップパーカーも結構注目されているようですね。
諸橋 今シーズンは展開されるところが多そうですね。
2色展開で、ネイビーは加工感がかなり強くユニークな表情になっています。ブラックはそれよりも抑え気味で、少し大人っぽい雰囲気になっています。
もりすん これは縫製する前に加工を施しているんですか?
諸橋 いえ、製品で加工しています。
もりすん 少し他の色が入っているように見えるのですが、何か色を入れているんですか?
諸橋 いえ、これは色を落としているんです。
運営 もともとの染料が持っている色があって、加工をしていくと変化していくんです。何回もテストをしていい感じの色が出るものを選びました。
もりすん なるほど!以前岡山のデニム工場に行ったことがあるのですが、こういうのは新鮮ですね。ファッション好きな方にもお勧めですね。
諸橋 どちらかというと加工は今トレンドというか。この2つは新たに買い足してほしいと思うアイテムです。
もりすん ベーシックから変化球まですべて揃えているという感じですね!
■FADED SWEAT PO
BLACK/NAVY
S / M / L
¥7,920 (tax incl.)
■FADED ZIP PARKA
BLACK/NAVY
S / M / L
¥10,800 (tax incl.)
RHYTHRの次章は、ニットアイテムで本領発揮か
諸橋 私は一番最初に入った会社ではカットソーとニットを担当していたんですね。RHYTHRではメインが布帛でカットソーが少し、という展開です。
今後はニットも展開していけたらいいなと。
もりすん 楽しみにしています!
──────────────
もりすんさん
30~50代の"忙しい大人の社会人男性"に向けて、「好印象ファッションで彩り豊かな心を」をテーマに発信。
YouTubeチャンネル”時短メンズ服”の登録者は7.5万人を超え(2025/9現在)多くの大人男性から支持されている。
2024年よりウール服専門ブランド"JiTan"を運営。
Instagram:@mori_suun
YouTube:もりすん | 時短メンズ服
ウール服専門店JiTan
諸橋和之(もろはしかずゆき)
日本を代表するコレクションブランドにて10年間にわたり在籍、その後自身のブランド[MAYKAM]を立ち上げ、ニットウェアの新しい可能性と価値観をコンセプトに、従来のニットウェアを再解釈したアプローチや、横編みと丸編みの融合、日常生活と共存したデザインの探求を行う。
MAYKAM Instagram:@maykam_official